ミンダナオ和平
[ 1490字|政治 (politics) ] 有料土地めぐりモロ・イスラム解放戦線関係者同士が交戦。世代超え続く骨肉の争い
ミンダナオ地方マギンダナオ州などの紛争を読み解く上で、重要なキーワードは土地。同地方のイスラム教徒は過去数世紀、外国人や異教徒に奪われた「父祖伝来の土地」を取り戻すため闘い、さらには身内や部族間でも土地のやり取りをめぐる骨肉の争いを続けてきた。8月上旬、同州ダトゥピアン町で起きた交戦では、イスラム急進派、モロ・イスラム解放戦線(MILF)の離脱者と正規部隊が銃口を向け合ったが、この戦闘を誘発したのもやはり土地。多層化する紛争と世代を超えた怨恨(えんこん)の連鎖を象徴するように、2代前の祖父の時代にやり取りされた農地をめぐって新たな血が流れた。(酒井善彦)