ハロハロ
首都圏南郊で背を伸ばすマキリン山。そのふもとから平地にかけてはこの季節、ホウオウボク、ゴールデンシャワーなどの街路樹がすべて派手な花を落として、辺りの自然は、濃淡の違いはあるものの緑一色。山ろくにある拙宅の庭でも、フィリピンで「サングーマイ」と呼ぶデンドロビュームの一種が垂れ下がった茎に桃紫色の花をひと房つけるだけで、ハイビスカスも赤とピンクの花を咲かせてはいるが残り火のようで、どことなく寂しい。
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そんな中で、形、大きさが秋の七草の一つ、萩(ハギ)そっくりの木が今、花を咲かせ、地味な庭を彩ってくれている。それはこの国で「カマチリ」と呼ぶ萩と同じマメ科の低木。原産地は熱帯アメリカで、スペインの植民地時代に持ち込まれたという。根元の幹から分かれた細い枝が競い合って伸び、伸びるに従って緑の葉がどれも白くなり、その先端に淡い桃色の小さな花を幾つもつける。その風情は筆者が育った奈良の南都七大寺の一つ、薬師寺の境内に植わった萩を思い出させてくれて懐かしい。
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恐縮だが、拙宅の庭の話題を続けさせていただく。ご紹介するのは「竹の花」。解説書、事典類で「竹の開花期は60年から120年周期」「もし花が咲くと、付近の竹林を含めて一斉に枯れてしまう」と説明されている。だが、拙宅の庭に植えた6種類のうち2種類の竹に一昨年、昨年と二度続けて花がついた。ちょっとしたニュースだと思い、この欄で紹介した。が、今年も当然のことのように稲の穂に似た花をいくつもつけており、どの種類の竹も枯れていない。フィリピンに来て、「所変われば木の葉も変わる」のことわざを身をもって知った思いがする。(濱)