撲滅に再挑戦を
首都圏のはしか流行
フィリピンは1998年、はしか完全撲滅を目指し、10年間の集団予防接種キャンペーンを実行すると、世界保健機関(WHO)に確約した。これは、達成が難しい目標ではなかったはずだ。
しかし、わが国はWHOへの確約を守れなかった。予防ワクチンは無料で提供される。したがって(受診者の)貧困は言い訳にならない。
2013年末から首都圏を中心に、はしかが流行して以降、すでに3人の子どもが死亡した。同年通年では21人が命を落とした。報告されていない件数を勘案すれば、実際の死者数はさらに多いだろう。厚生省のタヤグ広報官によると、さらに状況が悪化する恐れもある。
子どもだけでなく大人も感染する可能性がある。首都圏の住民は、はしかが流行しているため、子どもを戸外で遊ばせる際に、細心の注意が必要だ。
9日に行われるブラックナザレ像の巡行には、多くの子どもたちが親に連れられてくるだろう。政府や地方自治体、カトリック教会は、子どもをこの宗教祭事に参加させないようにすべきだ。厚生省は、ブラックナザレ以外にも商業施設など人混みには子どもを連れてゆかないよう、保護者を説得すべきだろう。
1998年の目標を達成できなかったことで、現在の厚生省の役人を非難するのは、公平を欠くかもしれない。しかし、はしかの犠牲者がこれ以上増えれば、非難はまぬがれられないだろう。
厚生省のはしか防止対策は生ぬるい。すべての子どもたちが予防接種を受けるまで、私たちの心が休まることはないのだ。2008年までの目標達成は失敗したが、新しい年を迎えた今、もう一度、完全撲滅に挑戦できないだろうか。(8日・タイムズ)