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5月5日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 512字|2003.5.5|社会 (society)|ハロハロ ]

 きょう五日は「端午の節句」。「鯉幟(こいのぼり)風に折れ又風に伸ぶ」(山口誓子)。日本列島の各地で五月の風に鯉のぼりが泳ぎ、吹き流しがはためいていることだろう。菖蒲湯(しょうぶゆ)に浸るのもこの日。蘭の葉を風呂に入れた中国の「蘭湯」が起源だというが、どのような蘭を使ったのか。「蘭」はノビルの古称だが、湯船に浮かべるなら中国も原産地のシンビジュームの細長い葉だと想像したい。

 日本はいま、一年で最もさわやかな新緑の季節。日本を離れているだけに、記憶に残る新緑の風景は誰にもあると思うが、筆者がすぐ思い浮かべるのは京都・南禅寺境内の楓(かえで)。萌(も)え出た若葉が辺りを鮮やかな薄緑に染めて、秋の紅葉とは趣を異にする。「葉を襲(かさ)ね襲ねて暮るゝ若楓」(日野草城)。「新緑」で忘れられない思い出は自宅の庭の樫の木。食糧事情が最悪だった終戦の翌年。若芽があまり柔らかそうなので、ゆでて食べようかと本気で思ったことだ。若い世代の人たちには考え及ばないことだと思う。

 年に一度の日本と違い、熱帯性気候のマニラは、毎月が「新緑の候」。それだけにありがた味は薄いが、ゴルフ場に広がる濃い緑は、いつ見ても美しい。

(濱)

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