邦人強盗被害また発生 バイクタクシー運転手装う
マカティ市ジャズモール近くで邦人男性が拳銃強盗被害。犯人は「ジョイライド」の運転手装う
在比日本国大使館は23日、首都圏マカティ市ジャズモール付近で邦人がバイクに乗って待ち伏せしていた2人組の拳銃強盗に遭ったと発表した。マカティ警察署によると、事件は同市ベルエアのニカノル・ガルシア通りで20日午前1時20分ごろ発生。近くの住居に滞在する邦人男性が40代の比人妻と歩いていたところ、バイクタクシー「ジョイライド」のユニフォームとヘルメットを着用し、バイクを停車していた2人組の横を通りがかった。その際、バイクの後ろに乗っていた人物が、突然拳銃のようなものを取り出して男性の首に突きつけ、もう一つの手で無理やり肩掛けカバンを奪い取った。犯行後、2人組はすぐに逃走した。警察の報告書によると、邦人男性のかばんにはパスポート、スマートフォン(アイフォン16プロマックス)、ヘッドフォン、財布などがあり、財布には日本円約5万円、クレジットカード、身分証が入っていた。
事件後、男性の比人妻が午前4時19分にマカティ署に駆け込み、被害届を提出。同署のアルティスタ広報責任者は「窃盗や強盗はフィリピンでは『個人犯罪』(親告罪)として扱われ、立件するには被害届が必要。外国人は捜査協力や刑事裁判手続きを面倒がり被害届を出さない傾向があるが、今回は比人妻がしっかり届け出てくれたおかげで立件が可能だ」と説明した。現在警察が逃走経路と考えられる場所の監視カメラ映像を収集・分析し、犯人の特定に取り組んでいるとした。
また、バイクタクシーを偽装して強盗を働く手口は他の外国人や比人に対しても発生しているとし、対策としてバイクタクシー各社と連携し、ドライバーの身元を確認する仕組みの構築に向け提言をとりまとめているとした。
10月19日以降、首都圏で邦人を狙った拳銃強盗の報告は今回で9件目。平均すると1週間に1件のペースで発生している。
同種の犯行が連続するなか、逮捕された容疑者は11月8日のマカティメディカルセンター付近で強盗をした疑いのある2人のみ。「容疑者への聴取で、想定される犯行グループの他のメンバーが割り出せたか」という質問に同広報担当官は「容疑者は、2人だけの犯行との主張を曲げない。だがこれは他の犯罪も同じで、仲間を売ったら拘置所で報復を受けることを知っているからだ」と説明。2容疑者の身柄は首都圏タギッグ市の拘置所に移送されたとした。
他に特定している2容疑者については「逮捕状発付手続き中だが、クリスマスシーズンによる手続きの遅れで、発付は来年1月以降になる見込みだ」とした。
同広報担当官は、在比邦人へのメッセージとして「100%犯人が悪いことは間違いないが、一方で、スキがあるところに犯罪が発生するというのも事実。深夜に貴重品や多額の現金を持って出歩くようなことは、身を守るために避けてほしい。アイフォンなど高価なスマホを取り出すなどもってのほかだ」と述べ、注意を呼びかけた。(竹下友章)