工費操作は思うまま
道路建設の汚職疑惑
公有地公団がマニラ湾埋め立て地に建設した道路をめぐる約六億ペソの汚職疑惑。アロヨ大統領の父親、マカパガル第五代大統領の名前を冠した道路の一部、二・三キロの工費は一メートル当たり三十万二千ペソで、別の業者により作られた他の部分の工費はたった五万四千ペソ。道路の一部の工費が同じ道路の他の部分の約六倍も高ければ、工費が水増しされたと考えるのは当然だ。
しかし、疑惑を調査していた会計検査院の特別監査チームの答えは違った。このほど公表された同チームの報告書によると、比で最も高額とみられるこの道路の事業契約は「まったく問題なし」と判断された。疑惑の根拠となる先に挙げた工費の比較は、道路の各部分における土壌条件の違いを理由に退けられ、「事業は承認された設計計画に従って行われており、工費が水増しされたことを証明する十分な証拠はない」というのだ。
しかし、同チームは二・三キロの部分の土壌を固めるのになぜ何億ペソも必要だったのかを調べるべきだった。道路沿いの公務員保険事業団(GSIS)ビルが、地盤沈下を起こしているという話はこれまで聞いたことがない。
会計検査院の新方針は、業者が政府に承認された事業計画に従っている限り、工費水増しはあり得ないというものだ。これが事業契約が適正かどうかを判断する政府の新基準であるならば、業者はインフラ事業をわずか百万ペソで落札、「政府の承認」を得て工費十億ペソへと計画を変更すればよい。そして同院は「問題なし」と判断するわけだ。これでは工費の上昇は天井知らずということになる。
フィリピンの納税者はこのような判断を下す会計検査官のためになぜ税金を支払わなければならないのだろう。 (2日・インクワイアラー)