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5月5日のまにら新聞から

観光客が来ないわけ

[ 686字|2003.5.5|社会 (society)|新聞論調 ]

病院の愚かな対応

 外国人観光客がフィリピンに来ないのは、ゴードン観光長官のせいでもなければ、比観光産業のせいでもない。問題はわれわれの観光客に対する態度が変わってしまったことだ。フィリピン人はかつて、世界で最もホスピタリティにあふれている国民の一つとされた。しかし、今や観光客をねたみ、歓迎するどころか「食い物」にしようとするありさまだ。

 観光業者によると、フィリピン人が外国人観光客に嫌われるにつれ、タイに観光客が集まりだした。同国の文化的な姿勢や観光政策が功を奏し、同国の観光産業は大きく成長。かつてマニラに大挙してやってきた観光客は、タイに行くようになってしまった。

 ここに先週に起きたばかりの「恐ろしい」話がある。ある香港在住の英国人男性が週末の休暇を使って来比。ホテルのプールに飛び込んだ際に額に裂傷を負った。ホテルの従業員が男性を病院に連れていったが医者や看護師は新型肺炎(SARS)の感染を恐れて男性に近寄らない。医者は接触を避けるため、ホテル従業員に男性の体温を測るよう指示、傷を縫おうともしなかった。

 別の病院に移ったがそこも同じ。医者と看護師らは男性が本当にSARSに感染しているかどうかも知らないくせに、外国人というだけで男性が感染している可能性があると恐れた。かれらはSARS感染者の九四%が回復するということすら知らないに違いない。医療を必要としている者はだれでも助けるという倫理はどこに行ってしまったのか。

 男性は一時間後にようやく診療してくれる医者を見付けたが、予定を切り上げ翌朝の第一便で香港に帰ってしまった。(2日・マラヤ・ダッキー・パレデス氏)

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