ハロハロ
「次官補があなたに五分後に電話すると言っています。よろしく」︱︱。最近某省幹部の秘書から早朝こんな電話がかかってきた。間もなく「面談日を一日前倒ししてほしい」と本人からていねいな要請があった。この国の役人、特に高官らの「非常識・無神経な」振る舞いに逆毛立つ思いに駆られることが多かっただけに、夢でも見ているような気分に陥った。
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実はこの二カ月前にも大統領府直轄の開発機関の長からも真摯(しんし)なもてなしを受けた。インタビューに先立ち送った質問状に筆頭補佐官が迅速にして、詳細を極めた回答を返してきた。「フィリピンの役人は変わりつつあるのか」「例外的人物に偶然続けて当たっただけなのか」と自問した。
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そこで「先入観を捨ててもっと政府機関を回ろう」とした。だが、約束の時間に行っても不在、午後四時前後になると「また明日来い」といった類の対応が続いた。あの二人は欧米で学び、働き、外資の誘致が最優先される分野のトップとして一時登用されたにすぎない。ため息とともに「多国籍企業との接点にしか優秀な役人はいない」との結論にたどり着いた。 (康)