上院が比日RRA批准 自衛隊が軍事演習に正式参加可能に
上院本会議で比日訪問部隊協力円滑化協定(RAA)が正式に批准された
上院は16日、日本・フィリピン間の訪問部隊協力円滑化協定(RAA)に関する批准決議を本会議で承認した。同協定は訪問部隊の法的地位を定める内容で、日本の国会でも承認されれば、日本の自衛隊が比米総合軍事演習「バリカタン」などに本格的に参加することが可能となり、比日関係はいわゆる「準同盟関係」に近づく。
比日RAAは今年7月8日に政府間で承認され、11月5日にマルコス大統領が承認。その後、憲法に基づき条約を最終的に批准する権限を持つ上院に提出され、11月25日に上院外交関係委員会(アイミー・マルコス委員長)が審議で承認して上院本会議に送られ、16日の採決で上院議員の3分の2以上が賛成したため、批准された。
批准決議を上院本会議に提出していたアイミー・マルコス上院議員は同日、「RAAの批准に賛同したすべての上院議員に対して感謝する」と表明している。
上院外務委員会での審議に出席したテオドロ国防相は、現行の法制度化で自衛隊と比国軍が実施できる合同軍事演習は、領海の外で行う「海洋共同活動」だけだと説明。同協定を締結すれば自衛隊が比米総合軍事演習「バリカタン」や比豪軍事演習「アロン」への正式参加が可能になると説明していた。
また、同大臣はRAAの第20条にフィリピン側の要望が反映され、環境・文化の保護と先住民の権利尊重の条文が盛り込まれたほか、「フィリピンにおける人道支援・災害対応(HADA)への自衛隊のさらなる参加が可能となる」としていた。
一方、国内の一部人権団体などが懸念していた比国内法に違反した訪問部隊員の司法上の取扱いについても、テオドロ国防相はRAA第21条に刑事事件や懲戒処分に関する訪問部隊員の法的地位が定められ、付録や合意された議事録によって補足されていると強調した。
上院外務委員会での審議では比政府の省庁のうち、外務省や国防省、比国軍や司法省、財務省や関税庁などの10近い政府機関が批准を支持するとの勧告を表明していた。(澤田公伸)