上位中所得国入り射程に 1人当たりGNI11%増
2022年の比の1人当たりGNIは11.3%増の3950ドル。上位中所得国入りが射程に
世界銀行はこのほど、2022年の世界各国の1人当たり名目国民総所得(GNI)を発表した。比の1人当たりGNIは前年比11・3%増の3950ドルで、上位中所得国(4466~1万3845ドル)入りを射程に入れた。マルコス政権は2025年までの上位中所得国入りを目指しているが、達成すれば、比の経済発展段階が次のステージに進んだことを象徴し、外資にとっては消費者の購買力が成長し市場としての魅力が高まったことを意味する。
他の東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国を見ると、シンガポールが最も高く6万7200ドル。3万1410ドルのブルネイと共に高所得国=1万3845ドル以上=に分類された。次いで、マレーシア(1万1780ドル)、タイ(7230ドル)、インドネシア(4580ドル)が上位中所得国に分類。ベトナム(4010ドル)、比(3950ドル)、ラオス(2360ドル)、ASEAN入りが内定している東ティモール(1970ドル)、カンボジア(1700ドル)、ミャンマー(1210ドル)が下位中所得国=1136~4465ドル=となった。
3日の英字紙ビジネスワールド電子版によると、拡大商業銀行大手リサール銀行のマイケル・リカフォート首席エコノミストは「活発な海外送金、低失業率、政府の積極的なインフラ投資、観光業の回復と好条件がそろっており、2023年以降の国内総生産(GDP)の成長率はASEANで最高水準の6%前後を維持するだろう」と分析。上位中所得国入りに楽観的な見通しを示した。
GDPに海外からの純所得を加えたものがGNIだが、1人当たりのNGI成長率が実質GDP成長率と同水準で推移すると仮定した場合でも、政府の成長目標の下限=23年6%、24年以降6・5%=を達成すれば、ちょうど2025年に上位中所得国入り可能な計算となる。海外就労が活発で、人口増加率が逓減傾向にあり持続的な物価上昇が続く比では、目標より早く達成する可能性もある。(竹下友章)