燃料価格が大幅上昇 電気料金も値上げか
石油各社が値上げ。1リットル当たりガソリンは3.60ペソ、軽油5.85ペソ、灯油4.10ペソ引き上げられた
8日午前6時、石油元売り各社は前日に発表していた通り石油製品価格を引き上げた。1リットル当たりの値上げ幅はガソリン3.60ペソ、軽油5.85ペソ、灯油4.10ペソで、今年最大。1年前と比べるとガソリンは31.3%、軽油は44.1%、灯油は34.2%上昇した。
また、家庭用ガス価格も同時に引き上げられ、サンミゲル系のペトロンは液化石油ガス(LPG)を1キログラム当たり7.95ペソ値上げした。
さらに、配電最大手マニラ電力(メラルコ)のザルダリアガ副社長も、「燃料価格上昇は電力料金にも圧力となる」として値上げの可能性を示唆した。
エネルギー省によると今回の値上げは、ロシアとウクライナの紛争激化が原油供給に影響を与え、世界の石油・ガス価格が上昇したことが原因だという。
下院税務委員会のサルセダ委員長は7日、ドゥテルテ大統領に対し、石油製品への課税停止措置の決議と経済緊急事態を宣言するために臨時国会を召集するよう求め、「経済緊急事態を宣言すれば、公共交通の運転手や農民、漁民の救済のために災害基金を使用することができるだろう」と述べた。
下院経済委員会のガリン委員長もサルセダ委員長の提案を支持。「防疫規制が緩和された矢先の石油製品の値上げは経済の安定に直接影響する。すぐにも食料品や生活必需品の価格に反映され始めるだろう 」とし「議会は早急な対応が必要だ」と指摘した。
▽航空運賃も値上げか?
民間航空局のアルキージャ事務局長は「燃料費が運賃体系の最大の構成要素である航空各社にとって運賃の値上げは検討せざるを得ないだろう」と語った。
一方、政府はジプニー、バスなど公共交通車両(PUV)の値上げを認める姿勢は見せていない。運行業者協同組合が請願している運賃引き上げについて、国家経済開発局エディロン次官は7日の下院公聴会で、「運賃引き上げは、賃金引き上げの嘆願に雪崩れ込みより大きなインフレリスクにつながる可能性がある」と述べ代わりに、「国からの補助金でバランスを取る合理的な運賃調整を提案する」と付け加えた。
また、副大統領候補のパギリナン上院議員は、15年が経過した車両を順次新型に取り替える公共交通機関近代化プログラムを延期するよう政府に要請。大統領候補で同議員とペアを組むロブレド副大統領も要請を支持した。パギリナン上院議員は、陸運事業認可調整委員会(LTFRB)が公共交通車両の運転手への燃料補助金支給を前倒しするとした計画については高く評価。LTFRBによると、運転手に配布されるランドバンクのカードで6500ペソ分の燃料が購入できるという。(渡辺誠)