台風ヨランダ(30号)
[ 1601字|気象 災害 (nature)|ビサヤ地方台風災害 ] 無料被災地へ2 ガソリン、コメが高騰。物資配布は1度だけ。憤る被災者たち
船上にずらりと並んだ席に座る乗客の顔は疲れきっていた。夜の海の遥か向こうに、黒々と大きな陸地が見えていた。15日午後10時ごろ、ルソン地方ソルソゴン州マトゥノグ町から、ビサヤ地方北サマール州アレン町の港へ向かう船の上は静かだった。突然、アナウンスの声が静寂を破るように聞こえると、乗客はぞろぞろと船べりに移動し、船の進む先を見つめた。港が近づいていた。14日午後3時半ごろに首都圏を出たバスは、約31時間かかって、ようやくサマール島の地を踏んだ。