【新聞論調】砂糖の輸入は必要悪である 国内流通が危機的レベル
砂糖の国内生産不足で危機的なレベルにある供給体制を強化するための輸入計画に、生産者が反発
政府による砂糖の輸入計画が砂糖キビ農家や製糖業者から抗議の嵐を巻き起こしているが、今回の輸入計画は国内供給の差し迫った懸念に対処するために必要なものだ。
農務省管轄の砂糖規制庁(SRA)は国内生産が少ないために危機的なレベルにある砂糖供給体制の強化のため35万トンの砂糖輸入を計画している。SRAによると2021-22年収穫期の粗糖生産量の見込みは198万3000トンで、2020-21年収穫期より16万トン、約7.5%減少している。
SRAによると繰越供給量22万8690トンを含めると、需要予測220万トンに対し粗糖供給量は約221万1千トンだという。つまり実質的に余剰はなく需要が予想より少しでも増えれば供給停止に追い込まれる。SRAは防疫規制の緩和や経済活動の活発化から、その可能性が高いと見ているようだ。実際に不足が生じないとしても砂糖の価格は供給不足のためにすでに上昇している。
さらに今後数ヶ月間、特に6~8月にかけては、製糖工場が処理する原料がなくなるため供給不足が予想される。SRAによると全国にある12の製糖工場のうち5つがすでに停止しており、残りの製糖工場も6月の第2週までに停止する予定だという。
砂糖は私たちが消費する食品の多くに含まれる基本的な成分であるため、食品値上げの主要な要因となっている。突発的な需要増にも対応できる適切な供給を維持することは、食品価格を抑制するためにも重要だ。
しかし、砂糖生産者が自分たちの利益のために砂糖を人質に取ることは許されない。国内生産者が需要を満たせないのであれば、管理輸入が必然的な解決策となる。もし輸入が妨げられ、砂糖の供給が必要量を下回れば、その差を補うために密輸が行われるだろう。密輸は管理輸入よりも砂糖生産者の所得を悪化させることは歴然だ。
むろん生産者が生産性を向上させ、輸入の必要性をなくすことが最終的な解決策だ。したがって政府にさらなる支援を求めることは正しい。砂糖生産者、特に小規模農家の不満は原油価格の上昇に伴い値上げされた肥料などの購入資金の不足などに向けられるなど問題は切実だ。
責任ある役所とはすべての懸念に可能な限り対処するものだ。輸入は現時点での供給確保と価格安定に対する短期的な解決策としては必要だが、同時に食料安全保障の観点からはそれらの根本的な原因に対処しなければならない。国内の生産量を増やすことに重点を置くべきだ。ここ数日、砂糖生産者が最も反発しているのはSRAが自分たちの不満を無視しているということで、SRAは輸入問題を「政治化」していると非難している。しかし、このような反目を続けていても現実の問題には何の役にも立たない。砂糖生産者とSRAが話し合い協力し合うことこそが重要だ。(16日、マニラタイムズ)