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7月9日のまにら新聞から

まず刑務所での撲滅を 現政権の麻薬撲滅政策

[ 742字|2017.7.9|社会 (society)|新聞論調 ]

 ブラカン州で家族5人を殺害した容疑者らのうち、主犯の1人はすでに捕まり、隣家に押し入る前に覚せい剤を使用し、ジンを飲んでいたことを供述している。このような覚せい剤の影響による残虐な犯罪事件が後を絶たないことが、政府による麻薬密売人や使用者に対する血なまぐさい取り締まり作戦を正当化する理由ともなっている。世論調査でも国民の多くが現政権の麻薬撲滅政策を支持しているという結果が出ている。

 一方、上院議会の調査では、この国の麻薬取引の元締めの何人かは首都圏モンテンルパ市にあるニュービリビッド刑務所にいる受刑者で、刑務所内から取引の指示を出していることが分かっている。このため、国家警察がエリート特殊部隊を刑務所に派遣して監視に当たらせてきた。しかし、最近、国家警察がこの部隊を引き上げることを検討している。この刑務所内で再び麻薬取引が活発化しているという報告が司法長官によって発表されたからだ。つまりこの特殊部隊に対しても、麻薬関係者からの資金が流れ込み、汚職がはびこっていると推察されるのだ。

 そもそも同刑務所内での麻薬取引は現政権になって一度でもストップしたことがあったのだろうか。携帯電話が持ち込まれているのは明らかで、当局は刑務所内での通信妨害措置も取っているといわれているが、受刑者による通信を止めさせることが難しいようだ。

 まず当局関係者の汚職を無くすことが一番の課題である。刑務所当局の幹部らが汚職に手を染めていないのであれば、どうして刑務所内の監房に冷房装置やサウナ施設が設置されているのだろうか。ドゥテルテ政権が刑務所内での麻薬取引ですら撲滅できないというのであれば、一体どうやって国内全域での麻薬取引の撲滅を実現できるというのだろうか。(6日・スター)

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