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1月12日のまにら新聞から

政治危機への対処で教訓 韓国の政局混乱

[ 667字|2025.1.12|社会 (society)|新聞論調 ]

 12月3日、韓国の尹錫悦大統領が「非常戒厳を宣布する」と発表したが、軍が動く前に韓国国会が4日未明に非常戒厳の解除を求める決議案を可決。大統領は同日朝に解除を発表した。その後国会は尹大統領の弾劾裁判を発議して大統領の権限をはく奪、「高位公職者犯罪捜査処」が内乱容疑などで尹氏に対する拘束令状を地裁に請求、3日に拘束令状を執行しようとしたが、大統領警護処に阻まれている。

 韓国の一連の政治危機で目立つのは、大衆蜂起ではなく立法や司法機関を通じて対処しようとする姿勢である。これは比がエドサ2や3で経験したことと対照的だ。

 1986年のエドサ革命の影に覆われて思い出す人も少ないエドサ2と3の蜂起だが、重要な教訓を含んでいる。2001年1月、エストラダ大統領の弾劾裁判が上院で行われ、重要な証拠の開示を上院議会が否決。大統領支持派議員がダンスして喜びを表現したことなどが放映されると、中産階級による大規模な抗議集会へと発展した。その後大統領府への大規模デモ行進につながり、国軍が大統領への忠誠を取り下げたことから当時のアロヨ副大統領が大統領職を掌握しエドサ2と呼ばれた。

 しかし、エストラダ氏は辞任した訳ではなく、アロヨ大統領の就任を合憲とした最高裁の判断には疑義を挟む余地がある。3か月後に略奪罪で逮捕されたエストラダ前大統領を支持する貧困層を中心とする住民たちの抗議行動、エドサ3が起きた。これは治安当局に早期に鎮圧されたが、一歩間違えば、階級間戦争になる可能性もあった。(5日・インクワイアラー、ランディー・ダビッド)

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