女性問題は今世紀の最優先課題となっている。歴史的に権威のあるラモン・マグサイサイ賞も、この流れに敏感に反応している。同賞の選考を行っている財団はこのほど、「新リーダー部門」を新設し、二人の若い女性活動家がこの部門で初の受賞者となった。
二人はカンボジアのアウン・チャンソルさんとインドネシアのディタ・インダサリさん。
三十四歳のチャンソルさんは女性に対する犯罪を監視するための団体を創設、性産業に駆り出される女性への救援活動を行っている。また、二十八歳のインダリさんは労働団体を率いて、労働関連法の改正や労働争議に対する軍隊の介入を阻止する闘争を繰り広げている。
この二人に加え、「行政サービス」の部門では、中国のウー・キンさんが受賞する。ウーさんは北京市議会の議員で、中国で女性の地位向上のための非政府組織(NGO)を結成、女性の雇用機会均等などに力を尽くしてきた。
今回、三人の女性が受賞対象になったことにより、賞の歴史に新風が吹き込まれた。
今日、同賞は、多様さを増す現代社会にそぐわない部門が目立ち、時代に適合していない状態が続いていた。また、ここ二十年ほど、アジアの女性らは長い沈黙の歴史を打ち破り、組織的、文化的な抑圧に対し声を上げ始めていた。
三人の受賞で、アジアの女性の闘争は社会的にはっきりと認知されるようになるだろう。
この三女性を含めた七人の受賞者は、アジアが達成した数々の業績を象徴している。これらの業績はアジアを覆う文化的な闇に対抗して、最高の人間性を映し出しているといえるだろう。