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1月19日のまにら新聞から

不公正な慣行  ニンニク輸入汚職

[ 723字|2015.1.19|社会 (society)|新聞論調 ]

 農務省植物産業局のクラリト・バロン前局長と部下2人、輸入業者ら総勢119人が賄賂絡みの不正なやりとりを行ったとして、国家捜査局(NBI)が反汚職法違反で起訴するよう行政監察院に勧告した。

 前局長が賄賂を受け取ってニンニクの輸入許可を出し、業者側もカルテルで価格操作をし、昨年6月から7月にかけてニンニクの価格は急騰したとされる。

 輸入ニンニクはほとんどが台湾産で、安価で香りも良く、大粒。疑惑発覚前、すでに価格が下がり始めており、消費者は疑惑調査で価格がさらに下がることを期待した。

 ところが、ニンニク価格は昨年6月ごろ、通常の2倍以上の1キロ当たり287ペソまで跳ね上がった。問題の局長ら119人は、1社がニンニクを買い占めるのを黙認し、供給量と価格を操作するのを許したという。同様のカルテルがタマネギ、ショウガ、フィリピンの主要産物であるコメに関して疑われている。

 ニンニクについては、安価な輸入品が供給量の73%を占め、国産はわずか27%にとどまっている。国産農作物の増産も可能なのに、カルテルにより供給量と価格をコントロールさせていいのか。

 今回の問題発覚にもかかわらず、国産品の価格は上がった。比の食卓に欠かせないタマネギや赤ニンニクにも同じことが言える。コメの値段は、カルテル疑惑が明らかになる前の水準に戻っていない。こうした農産物の価格操作の影響は貧困層を直撃する。

 ニンニク問題にかかわるグループはタマネギの価格高騰にも関与している。適切な罰が下されるよう、調査を進め、事実が明らかにされるべきだ。もし罪状が事実ならば唯一確かなことは、関係者が処罰され、不公正な慣習が止むということだ。(13日・スター)

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