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9月30日のまにら新聞から

うその理由は何か

[ 731字|2013.9.30|社会 (society)|新聞論調 ]

アキノ大統領発言

 アキノ大統領がうそをついた。ミンダナオ地方サンボアンガ市街占拠事件と上院議員3人らの起訴勧告という大ニュースの陰で、忘れかけられてはいるが、大統領は、優先開発補助金流用事件の主犯の1人とされるジャネット・ナポレス被告について「彼女のことは知らない。会ったことがあるかどうかも分からない」とうそをついた。

 その後、隠し通せないと悟ったのか、大統領府は、大統領とナポレス被告が一緒に写ったパーティーの写真を公表し、「知らない」という大統領発言が虚偽だったことを暗に認めた。

 ここで重要なのは、大統領が当初、「知らない」と突っ張った理由だ。「記念撮影の求めに応じるのも大統領の仕事」と開き直れたにもかかわらず、うそをついたのはなぜか。

 それは、隠さねばならないことがあったからだ。弊紙コラムニストらによると、ナポレス被告はコロナ前最高裁長官の弾劾裁判や人口抑制法案審議の際、政府・政権与党のため「国会対策」に奔走した。また、マラカニアン宮殿に出頭した8月28日、実は出頭前の昼間から宮殿内にいたという。つまり、深夜の「出頭」は、大統領府が台本を書いた芝居で、「安全な個室での拘置」も既に決まっていたというのだ。

 このほかに、どのような秘密をナポレス被告は握っているのか。今回の件で、さまざまな裏切りを体験したであろう同被告は、知っていることをすべて話すべきだ。不正流用事件関連の捜査情報は、現政権により厳しく管理され、野党陣営の国会議員だけが矢面に立たされている。同被告が口を開くことで、与党議員を守る「政権の盾」は崩れ、大統領がうそをつかねばならなかった理由も白日の下にさらされるだろう。(26日・スタンダードトゥデー、フロレンシオ・フィアンザ氏)

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