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9月30日のまにら新聞から

警官を使うなかれ

[ 710字|2013.9.30|社会 (society)|新聞論調 ]

喜劇女優の身辺警護

 喜劇女優として知られるアイアイ・デラスアラスさんが、警官を護衛に付けていたことが発覚した。理由は、結婚からわずか約1カ月で破局を迎えた前夫とのトラブル。私的事情にもかかわらず、本人は「身辺警護をしてもらうためで、(警護代には)ポケットマネーを使った。公金を使ったわけではない」と開き直っているようだ。

 首都圏警察の人員不足が、治安悪化要因の一つになっているのは周知の通り。そのような状況下、警官を私的な身辺警護に使った行為は、極めて不適切と言わざるを得ない。

 デラスアラスさんは「公金は使っていない」と自己弁護するが、この主張もおかしい。警官に給与を支給するのは国家警察であり、その財源は言うまでもなくわれわれの税金。つまり、私的事情の身辺警護に税金を使ったも同然で、権力を私的目的に乱用する政治家らと何ら変わらない。アキノ現政権の掲げる汚職撲滅スローガン「マトゥウィド・ナ・ダアン(真っすぐな道」にも反する。私は、警官による警護自体が違法と言っているわけではない。例えば、事件の被害者や証人の保護は、重要な職務の一つで、本人からの要請を受けて国家警察が警護の可否を判断すればよい。

 ただ、警護を必要とする重要事件の証人らが数多くいる中で、国家警察がデラスアラスさんの警護を決めたのはなぜか。民間警備員を雇う経済的余裕のある彼女が、なぜ警官を使ったのか。その背後には、アキノ大統領の妹であるクリスさんと彼女の親しい関係と大統領周辺からの便宜供与があったのではないか。上・下両院は、この問題を関連委員会の聴聞会で取り上げ、証人としてデラスアラスさんを招致すべきだ。(25日・マラヤ、エレン・トルデシリャス氏)

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