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9月30日のまにら新聞から

邦人モデルがスポーツ支援

[ 1658字|2013.9.30|社会 (society) ]

東京五輪へ選手派遣の夢も

支援団体を設立した白井さん(後列左から2番目)と比の体操選手=白井さん提供

 福島県出身の人気モデル、白井涼さん(33)=東京都在住=が設立し、代表を務める一般財団法人「ZippyAction」が、フィリピンの教育・スポーツ振興の支援に、一役買っている。白井さんは世界的に有名な服飾銘柄店の新作発表会「パリ・コレクション」にも出演した経験を持つ一流モデル。白井さんは「比にはセンスにあふれた若者が多い。スポーツだけでなく、モデル、デザイン、歌の世界でも活躍できるはず」と目を輝かせながら熱っぽく、将来への夢も語った。

 ▽池谷幸雄さんを派遣

 ZippyActionは、比などアジア各国の子供たちの教育環境の改善と発展を目指し、2012年11月に設立された。支援事業の第一弾として、比の体操選手の育成を目指し、財団設立直後に池谷幸雄さんを比に派遣した。池谷さんといえば、ソウル、バルセロナ両五輪の体操で、銅・銀メダルを獲得した体操ニッポンの元エース格。比に滞在中、体操コーチらに技術指導を行うなどの支援活動に携わった。

 今年9月半ば過ぎには日本人コーチ、釘宮宗大さん(29)が来比。常駐態勢で、体操の比代表たちに日本の体操文化や技術を伝え、将来、五輪などの世界大会で活躍できる若手選手の育成を目指している。釘宮コーチは「綿密な計画を立てて練習を積めば、世界大会に出場できる能力を秘めた若手選手もいる」と比代表の潜在力を分析する。さらに「2020年の東京オリンピック出場を目指す」と夢は広がる。

 同コーチはスリランカの代表コーチを務めた経験もあり「他のアジア各国の選手との交流は、比代表にとっても、良い刺激になる」として、今後、比とスリランカ両代表の練習交流も予定されている。

 設立から1年に満たない財団の事業は現在、スポーツを通じた支援に限られている。今後は比人若手モデルの発掘にも力を入れるという。白井さんの出身地、福島県発祥の「喜多方ラーメン」の料理人を比に派遣し「日本の味」を伝承する支援事業も検討中など事業展開のメニューは盛り沢山だ。

 ▽民放番組で3位にも

 白井さんは福島県会津若松市出身で、自身も幼い頃から大学時代までサッカーを続けてきたスポーツマン。スポーツ選手らが運動能力を競い合う、日本の民放テレビ局の人気番組「筋肉番付」にも出場し、プロスポーツ選手も含めた総合部門で3位に輝いたこともある。

 モデルになったのは、大学1年生の時、サッカーの練習試合会場でスカウトされたのがきっかけ。香港、イタリア、フランスなど世界の舞台に活躍の場を広げた。欧州ではパリに次ぐファッションのメッカ、ミラノでは約1年間モデルとして暮らしたこともある。

 そんな白井さんが、初来比したのは2005年。東南アジアでは初めての撮影の旅だった。

 約1週間滞在したマニラの街で、汚れた服を着た素足の子供たちが、行き交う観光客などに金品をねだっているのを目にした。「何か自分にできることはないか」。それ以来、いつか発展途上国で恵まれない子供たちの支援を実践しようとの思いを胸に秘めていたという。

 たまたま日本の航空会社で客室乗務員として働いていた比人女性と知り合ったのをきっかけに、10年に比を再訪。貧困層の子供たちを再び目の当たりにして、支援への思いが一層強くなり、財団を設立した。設立資金は3千万円。モデルとしてのこれまでの稼ぎをつぎ込み、ファッション関連の日系企業からも支援を得た。財団の名は、「(皆を)巻き込む行動」の意味を込めたという。

 白井さんの母親は会津若松市で今も幼稚園を経営し、白井さん自身も千葉県内の中学校でサッカー部のコーチをした体験がある。そんな家庭環境と自らの体験が子供たちに目を向かせる背景となっているのかもしれない。

 「家庭環境のせいで生まれ持った才能を生かせず、子供たちの夢が制限されるのは悲しい。どんな人にでも平等にチャンスが行き届く社会造りに少しでも役に立ちたい」と、白井さんはさらなる支援を呼び掛けている。(鈴木貫太郎)

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