比は絶望の国?
若者の自殺傾向
自殺は痛みを伴わない。いろいろ目先を変えてくれるし、決めるも決めないも自分次第︱︱。世界保健機関(WHO)が定めた10日の世界自殺予防デーにあたり著名映画「マッシュ」の挿入歌の歌詞を思い出した。自殺は実際には無痛ではない。首つりや、銃、刃物を使った自殺は特にそうだ。しかし自殺は往々にして絶望に打ちひしがれ人生に多くの痛みを負った人の話として語られる。
先週、ナターシャ・ゴールボーン基金は、WHOの比人の10万人に93人が自殺しているとのデータを引用し、比が東南アジアで最も「絶望」発生率が高い国とした。2004年の統計を見ると、比では10歳ほどの子供も自殺している。厚生省の同年統計によると、10〜14歳の自殺が42件、15〜19歳は261件、20〜24歳が335件となっている。また、アジア太平洋公共保健ジャーナルはこのほど、比では1日に5人、1カ月に約150人が自殺で死亡したと報告した。これらの統計は若年者の自殺傾向の歯止めに向け対策を打たなければいけないことを強く警告している。
比人が楽しむことを何よりも愛し、陽気で、毎日「バハラナ」と言っては神にすべてを委ねる楽天主義で知られていることを考えると、この統計結果は興味深い。しかし、日々の深刻な貧困と自分ではどうしようもない望みのない状況が人々に自殺を考えさせているに違いない。
ある哲学者は「悪夢を見続けている者にとって自殺を考えることは強力な慰めになる」と言う。しかし、考えは時に実行へ変わる。取り返しの付かない死が実行される前に、家族や友達と共に絶望の人を元気づけ、彼らを、誰一人そこから戻ってきたことのない「未知の世界」へ旅立たせないよう努めよう。(13日・インクワイアラー)