事業の透明性を高めよ
中国との友好関係
貿易額の規模など経済分野で大きな関心を集めたアキノ大統領の公式訪中には、外交的な「再確認」と「冒険」の二つの要素がある。今回の訪問は、40年近く続く両国関係の再確認と、新たな関係に踏み出す機会となった。
貿易額を2016年までに年間600億ドルへ引き上げる両国政府の目標は確かに実利がある。大国である中国と経済分野で関係を強化することは大きなビジネスにつながる。しかし金がすべてではない。
中国とは、石油や鉱物資源などが絡む領有権問題を抱える。これまでの公式訪問では、領有権問題に触れられず、儀礼的なセレモニーとなっていた。
しかし今回は、アキノ大統領と胡錦濤国家主席が、領有権問題で少しだけ突っ込んだ議論をしたようだ。大統領によると、胡主席は南シナ海行動宣言(2002年採択)の行動規範策定に意欲を示したという。また、両国の友好・協力関係が紛争の影響を受けないようにすることなどを明記した共同声明も発表した。
もう一つの成果は、事業費が5億300万ドルから20億ドルまで膨張し、建設を中断した北ルソン鉄道建設事業で、契約変更に合意したことだ。ロハス運輸通信長官によると、ルソン地方パンパンガ州アンヘレス市と首都圏を結ぶ路線が、マカティ市のビジネス街まで延長されることになったという。
実際にこの変更事業が実施されるか定かではない。しかし、中国側が扉を開けたことは確かだ。中国関連の事業は、ブロードバンド網構築事業の不正受発注事件など不正も目立つ。比中両国は建設計画の透明性を高める諸条件を作らなければならない。
中国との関係は、領有権問題の進展と不正が絡む事業の見直しをセットで行うことで、初めて真の友好関係となるだろう。(5日・インクワイアラー)