パニックタイム
慌てるアロヨ政権
ブニエ報道長官はブロードバンド網構築事業の不正受注疑惑を追及する上院聴聞会を「政治パフォーマンス」と形容した。だとすれば、大統領府がいまになって疑惑調査を開始した理由は不自然だ。「政治的騒音」を排除する動きとしか思えない。司法省の調査決定のタイミングの良さにも納得できない。行政監察院が疑惑浮上から半年も経って突然の調査着手を決めたのだ。狙いは「聴聞会潰し」である。
大統領府は閣僚らの懐柔などに忙しく、報道陣への応対もいい加減になった。ネリ高等教育委員長がエルミタ官房長官と一緒に緊急記者会見して、アロヨ大統領に対する「邪悪」発言を否定したのは例外的と言ってよいだろう。
「パニック」を示す極みは、大統領と閣僚が大統領府内で「団結の行進」を公開したことだ。政権からの離反をうわさされる二人が大統領に寄り添った。ネリ委員長は大統領の横、テベス財務長官が同委員長に付き添った。
「行進」は初めてではない。二〇〇五年七月に現政権の選挙不正疑惑が浮上して、一部閣僚がそろって辞任した際に行われた。エストラダ前大統領も政権崩壊直前、当時のロハス貿易産業長官を含む閣僚と一緒に「行進」した。同長官は後に辞任し、政権崩壊への道筋をつけた。
政府のパニックは上院聴聞会証人、ロサダ氏の拉致疑惑に端を発する。政府は国家警察の協力で同氏喚問阻止に動き、同氏が喚問に応じた後には隠ぺい工作に方針転換した。次には、軍・警察幹部が大統領支持を表明し、ノグラレス下院議長が同僚議員を連れて大統領府を行進するのだろうか。国民の政府に対する信頼は回復しない。まさに、「もう、終わっている」のだ。(21日・インクワイアラー)