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10月27日のまにら新聞から

アロヨ大統領落選へ

[ 704字|2003.10.27|社会 (society)|新聞論調 ]

ブッシュ米大統領訪比

 ブッシュ米大統領の来比に関するドタバタ劇は、すべて大統領府が画策したものだ。米大統領がアロヨ大統領の次期大統領選出馬を支持していると国民に思わせるのが目的。米大統領が比国営テレビ局との会見で「アロヨ大統領にはやるべき課題がたくさんある」と話したことも、大統領府は米大統領の「支持表明」とした。あまりに救いようがないと言うべきだ。

 しかも、大統領府はブッシュ大統領が財政的、軍事的に中身のある約束をしてくれないと分かって、米大統領は国軍近代化の五年計画とミンダナオ援助に焦点を絞っていると大げさに解説する始末。しかし、ブッシュ大統領は来年、落選するかもしれず、新しい米大統領がブッシュ大統領の約束を守る保証はない。テロ問題への対応も変わってしまうかもしれない。

 また、仮にブッシュ大統領がミンダナオへの援助を実施しようとしても、議会に反対される可能性もある。

 大統領府は、アロヨ大統領が偉大な米国の支持を得ていると有権者に思わすことができればいいようだ。だが、ボリビアの親米派大統領はこのほど、「米国の手先」とする国民の抗議を受けて失脚。ベネズエラでは軍のクーデターで失脚しかけた反米派大統領が、庶民の後押しで大統領の座を守った例もある。

 いかに米国が強くても、人民の要求を止めることはできない。アロヨ大統領が庶民、そして他の政治家にさえ不人気であることは疑いようがない。選挙で不正をしないかぎり、アロヨ大統領が勝てるチャンスはまったくないだろう。与党連合は瓦解、市民団体からの支持も失っており、アロヨ大統領が頼れる勢力はほとんどない。来年、われわれは彼女に別れを告げる。 (21日・トリビューン)

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