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10月27日のまにら新聞から

共に歩みゆく比米

[ 691字|2003.10.27|社会 (society)|新聞論調 ]

ブッシュ米大統領訪比

 ブッシュ米大統領の発言は正しい。比米はその歴史を共有し、同様な民主主義の理想を追い求めてきた。両国が互いを同盟国とし、友人とみなすのには十分な理由がある。二国間関係は比の米軍基地閉鎖で気まずくなったが、現在は成熟しつつある。フィリピンは米国と比べ経済・軍事的に劣っており、この強力な同盟国から援助を受けている。しかし、比もできる範囲で一世紀に及ぶ友好関係の維持・発展に努めてきた。

 比は昨日、ブッシュ大統領とその一行を迎えた。比国民は皆、行儀良く振る舞った。反米抗議集会や、大統領が比国会で演説した際の下院議員五人の退出も、予想の範ちゅうにとどまった。大事なことは、すべての抗議行動が平和的に行われ、行動を通じて(言論の自由が認められている)民主主義を示すことができたということだ。

 警官隊がやや暴力的にデモ隊を追い払う場面も見られた。しかし、警官隊は反米派だけを相手にしたわけではない。ブッシュ大統領が在比米国大使館に立ち寄った際には、周囲にいた親米派の市民もビルの中に押し込められた。何はともあれ、大統領一行の誰にも危害は加えられず、今回の訪比は成功したと言ってよい。

 比米の友好関係は両国首脳の個人的関係を超えたものであるべきだ。そのような関係はブッシュ大統領が、自身の押し進める「テロとの戦い」や、発展途上国の犠牲の下に米製品の販路を拡大しようとする試みに失敗しても、続いていく。比が米の援助を必要としていることや、比政治家が次期大統領選で米政府の支持を求めていることではなく、人権や自由の尊重といった共通の価値観こそが友好関係の基礎となるべきだ。(19日・スター)

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