だれのための政変?
経済再建への道のり
「経済再建は遠い道のり」——こんな見出しがアロヨ新政権発足後、新聞の一面を飾った。
有力経済団体「マカティ・ビジネス・クラブ」(MBC)のルズ事務局長は「辛抱強く待つべきだ。やるべき事はたくさんある。まずは政権の透明性を高めなくてはならない」と語った。
「やるべき事はたくさんある?」。だれに向けての言葉だろうか。政権交代のためにエドサに集まった民衆たちは、経済再建のためにも奮闘する必要があるのか。
財界はこれまで、「エラップ(エストラダ前大統領の愛称)が経済低迷の元凶だ」と言い続けてきた。エラップはもういない。ならば、経済は安定軌道に乗り、一般大衆の生活は向上するはずである。
ところが、そうではないらしい。ルズ事務局長は「まだ時間がかかる。国民が力を合わせて国家再生に努力すべきだ」と話している。
経済低迷の責任を前大統領にすべて押しつけられない。国家元首としての資質のなかったエラップは辞任すべきだったが、前政権下で経済が向上する要素はあったはずだ。
一体、何が次に起きるのか。外国の石油会社による投資を促進するため、石油製品の価格をさらに引き上げるのだろうか。
マカティ財界は約束した。「エラップ追放が経済の起爆剤となる」。それが、スペイン語を話さない数千万人の一般大衆のためであって欲しい。