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1月29日のまにら新聞から

エドサ革命の必要性

[ 600字|2001.1.29|社会 (society)|新聞論調 ]

政権交代に思う

 エドサ革命はどんな危機でも克服できる魔法の力だ、と国民が思い始めている。危険なことだ。

 エストラダ前大統領を辞任に追い込んだエドサ聖堂前での市民運動を非難するつもりはない。だが、奇跡は市民運動そのものではなく、未熟で貧弱な民主主義ゆえに国家を転覆させる力を国民が見せ付けたことだろう。

 より成熟した民主主義を確立できるならば、エドサ革命を必要としなくなる時が将来訪れるはずだ。

 エラップ辞任を求めるデモ行進は憲法で保証された国民の権利であると同時に、弾劾裁判も大統領を裁く憲法上の正当な手段だ。

 裁判の終結が「無罪評決」となったとしても、理由は司法制度の不備ではなく、大統領弁護団と陪審員の与党議員がそのパロディを引き出すために奔走した結果に過ぎない。その時に初めて、明確な民主主義を守るために国民が命をかけて立ち上がるべきだった。

 「ピープルパワー2」はある意味で国民を困惑させた。民衆主導のデモ集会に始まり、軍、警察の介入、最高裁による「大統領ポストの空白」宣言を経たアロヨ新大統領の就任とめまぐるしく動いたからだ。

 新政権にも政治ブローカーらごろつきが介在する。裁判所、国会における民主主義を確立し、選挙区での監視を強め、エドサに集まることなく不正を追放すべきだ。

 弾劾裁判が懐かしい。次にエドサ通りに市民が集まる時は、エラップが起訴されたことを喜ぶ集会であることを心から願う。

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