ハロハロ
比人の海外出稼ぎの実情を訴える在日比人女性らのコンサートが、今月初め名古屋市で開催された記事を地方紙で見つけた。出演者の中に見覚えのある比人女性の名前があったので確認の電話を入れると、国籍確認訴訟で勝訴した子どもたちの母親の一人と分かった。空港での家族との別れや、来日後の職場での苦労など異郷で暮らす寂しさを歌劇風のライフストーリーにまとめ自主上演したという。
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「半年間、苦労したが成功してほっとしている」と話してくれた母親は、裁判を通じた取材の中で、コンサートの企画などおくびにも出さなかった。昨年暮れに東京都内で開かれた在日比人の合同クリスマスパーテーにも姿を見せなかったが、この間、上演の準備と舞台けいこに奔走していたらしい。思い立ったらいちずに行動する比人女性のたくましさに驚かされた。
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コンサートの演目はタガログ語で海外を意味するという「イバヨ」。出稼ぎ比人の人権を守る組織「ミグランテ・インターナショナル」(本部・マニラ)などの主催で、本国から駆けつけた比人歌手と在日比人女性ら八人が熱演した。「東京公演はないの」と聞いたら、原告の母親は「資金援助があればね」と笑い飛ばしていた。昨年、「ミグランテ名古屋」を立ち上げ、各地を飛び回っているようだ。 (富)