ハロハロ
[ 442字|2007.5.28|社会 (society)|ハロハロ ]
統一選投票日を間近に控えた五月上旬。首都圏近郊で精米業を営む知人から電話をもらった。いわく「隣町の町長選候補から注文が入った。投票前日にコメを五トン届けてほしいそうだ」。用途は言うまでもなく有権者買収。「ほかの候補からも引き合いがある」と知人。選挙特需に笑いが止まらない様子だった。
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選挙特需で思い出すのは、昔住んでいたマニラ市トンド地区での「実弾攻勢」。本格化するのは投票前夜で、バランガイ関係者が現金を持って「最後のお願い」に回っていた。特需を下支えするのは有権者側の需要で、住民らには「A候補は五百ペソか」「B候補は千ペソだ」と実入りを競い合う風さえあった。
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今回の統一選でも、実弾が多数飛び交い、百人を超える人が死んだ。何とも形容しがたい「民主主義」の現状だが、ラジオを聴いていると司会者が冗談混じりでこう問い掛けた。「政治家は国会議員になるため、なぜ大金をつぎ込み、命まで懸けるのでしょうか。月額三万ペソ程度の歳費しかもらえないのに」(酒)