ハロハロ
[ 488字|2005.5.2|社会 (society)|ハロハロ ]
ニッポン放送株をめぐるライブドアとフジテレビの買収劇が決着した。大げさに言えば七十日間、どこへ行ってもこの話題で持ちきりだった。法制度のすき間を突いて両社が奇手、禁じ手を繰り出した。株を他人に預ける「株疎開」という業界言葉も飛び出した。太平洋戦争中、山形県の温泉街に集団学童疎開した苦い思い出がよみがえった。
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連日、聞きなれない言葉が乱れ飛んだ。「焦土作戦」に始まって「クラウン・ジュエル(王冠の宝石)」「ボイズン・ビル(毒薬)」「バックマン・ディフェンス(逆転攻撃)」「ホワイト・ナイト(白馬の騎士)」…。フジ以外の各テレビ局は、堀江貴文社長を競って生出演させ、本筋と関係ないことまで面白おかしく劇場仕立てで放映した。
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攻防戦の中でフジ側は「放送の公共性と社会的使命」を盛んに強調した。しかし、この言葉を懐疑的に受け取った視聴者は少なくない。視聴率至上主義の体質の中で倫理観に反するような番組を流してきた一面もあるからだ。
番組がくだらないとテレビをあまり見ない家庭も増えている。ブロードバンドの普及で多メディア化が進み、テレビ離れだって始まっている。(富)