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10月25日のまにら新聞から

新聞論調

[ 1229字|1999.10.25|社会 (society)|新聞論調 ]

The Tone of the Press

貧者より業者のため?

政府の住宅政策

 住宅都市開発調整評議会のカリーナ・ダビド委員長の辞任を契機に、政府の住宅政策への不信感が国民に広がっている。

 ダビド氏辞任の理由は、エストラダ大統領が大統領住宅問題顧問の座に宅地開発業者のホセ・ルイス・ユロ氏を据えたことだった。ダビド氏は「大統領顧問が口出しするため、政策に一貫性を欠く」と大統領の政治手法を痛烈に批判した。

 大統領はユロ氏に中所得者住宅を、ダビド氏には低所得者住宅をそれぞれ担当させ、自らが住宅政策を統括するという計画だったようだ。

 だが、ユロ氏の顧問登用で、開発業者が予算を着服し、結果的に住宅価格の高騰につながるとの懸念が噴出した。これに対して、大統領府は「まだ、結果は出ていない。ユロ氏の適格性を判断するには時期尚早」との見解である。

 ダビド氏の復職はなさそうだ。大統領は真剣に住宅問題に取り組む必要がある。屋根のある橋、立体交差などで暮らす路上生活者の姿が目立っており、全国で三百八十万戸、首都圏だけで九十四万戸の住宅が不足しているといわれる。また、政策を効率的に進めるためには、政府は住宅提供と同時に、住民に生活の糧を与えることが大切だ。職がなければ、住民はまたスラムに戻ることになる。

 「貧者より開発業者のための住宅政策」との批判に対し、果たして大統領はこれをを打ち消すだけの結果を出すことができるのだろうか。(19日・スター社説)

「世界一流の盗人集団」

サンチャゴ議員の政権批判

 サンチャゴ上院議員がエストラダ政権を「世界一の盗人集団」とこきおろし話題となっている。それによると、「閣僚らはワニのようなどう猛さと象のような分厚い表皮を合わせ持つ」そうだ。

 しかし、同議員はエストラダ大統領個人への攻撃を控えている。「大統領はまだ二年目。多数の閣僚や顧問が地位を利用して悪事を働き、大統領の支持率低下につながった。責めるより逆に同情する」と話している。

 サンチャゴ議員が言うように政府が「盗人集団」であることに大統領の責任はないのだろうか。側近の悪事に気付かない大統領はまったく無知で無能ということだ。

 閣僚、顧問の任命権は大統領にあり、議会の任命委員会は閣僚就任を承認するだけだ。閣僚、顧問の人材に恵まれていないことで、大統領に同情するのは間違いだ。「優秀」な側近の言うことに間違いはないと思っているのなら、それは政治意思の欠如に他ならない。

 大体、大統領は国で起きている出来事の一つ一つをしっかり把握しているのだろうか。山積する案件を自らの考えで承認しているだろうか。芸能界の友人たちを大統領顧問に指名するのは少なくとも自分の意思からだろう。

 貧者救済などの公約実現について、大統領は「もう少し時間をくれ」とよく言う。だが、大統領に確固たる政治意思がないのなら、この言葉は疑わしい。一体、何のための時間が必要なのだろうか。(23日・インクワイアラー社説)

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