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10月4日のまにら新聞から

時代が変われば避妊具も

[ 698字|2010.10.4|社会 (society)|新聞論調 ]

教会の政治介入

 教会の指導者たちは、ほどなくリプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)法案の成立を阻止できないと知ることになるだろう。教義に忠実な彼らが同法の成立に反対するのは当然だが、そのためにはアキノ大統領が人工避妊などの家族計画を、カップルに選択させるという声明を180度転換することが必要になるからだ。

 この問題の本質は、未婚、既婚にかかわらずカップルが、ピルやコンドームを使ってセックスをするのは違法ではない、というところにある。現に一部の地方自治体の中には教会が拒絶するような避妊具を配布している。この法案の狙いは、国中で人口避妊具を使いたいカップルに使わせることであり、避妊具の強制ではない。

 「神は生めよ増えよと仰せになる」と教会では聖書を信じて疑わないが、その言葉が語られたのは、人類がまだ少数で、いわば類猿人にさえ近い存在だった頃のことである。しかし時代は変わった。人口は爆発的に増え、人口増加が貧困を生み出す要因にすらなっている。

 この国では教会が政治に介入しすぎてきた。教会が政治への介入が許されていない他の国々は発展してきたが、比は遅れをとるばかりである。この国では歴代の大統領が教会を重要視しすぎてきた。特に選挙期間中には、政治と信仰が混同されてきた。新大統領就任式の時には、枢機卿、司教、司祭が必ず列席する。

 大統領でさえも枢機卿の前にひざまずき、頭を下げ指輪にキスする。比の大統領は、統治国家の元首であるにもかかわらず、たとえ相手が枢機卿であったとしても、ひとりの教会員に対し、どうして頭を下げるのだろうか。(1日・トリビューン、ニセズ・カチョオリバー氏)

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