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12月15日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 599字|2008.12.15|社会 (society)|ハロハロ ]

 改正国籍法が成立した日、国籍確認訴訟の原告だった子どもの比人母親に電話を入れると、「うれしい」と弾んだ声が返ってきた。二人の子どもは父親認知が出生前と出生後と異なり、姉は比籍、妹は日本籍と分かれる。裁判は一審で勝訴したが、二審では逆転敗訴。母親たちが最後の望みを託した最高裁でようやく画期的な違憲判決を勝ち取った。広い大法廷で泣きながら抱き合った母子の姿が忘れられない。

 母親とは提訴後の裁判取材で知り合った。一審判決前に会見を申し込むと、埼玉県内の比人女性支援施設で快く応じてくれた。二十四歳で来日し、日本男性と知り合い、子どもが生まれるまでの日々を淡々と話した。中でも長女の出生届を市役所に提出した時のショックが忘れられないという。「子どもの名前は漢字ではだめ。ローマ字で書くのよ」。受付の職員から出生後の認知では日本籍が取得できないことを初めて告げられた瞬間だという。

 国籍法改正案は参院で審議が始まってから父親の認知を厳格化する議論が急浮上した。偽装認知が急増しかねないと慎重派が防止強化策を主張したためだ。裁判闘争を支援してきた原告代理人は「少しヒステリック過ぎると思うが」と指摘した。違憲判決後、すでに百三十人を超える外国籍の子どもが国籍取得届を法務省に提出。比でも新日系二世十人が十日、在比日本大使館に集団申請した。比人母子家庭に悲願のゴールが見えてきた。(富)

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