事件解明を急げ
記者殺害事件多発
十二月二日、ビサヤ地方北サマール州サンロケで地元ラジオ局の解説者を務める三十五歳の男性が娘の目の前で何者かの銃撃を受けて殺害された。彼は今年に入って国内で殺された八人目のジャーナリストとなる。つい先日の十一月十七日には、ミンダナオ地方東ミサミス州ギンゴオン市で、やはり地元ラジオ局の解説者だった男性が、娘を大学に送り届けた直後に銃撃され、殺されたばかりだった。
東ミサミス州の事件では、二人の男が容疑者として逮捕されたが、その殺し屋を雇った中心人物はまだ割り出されていない。アロヨ大統領が就任した二〇〇一年一月以降、これまでに五十人以上のジャーナリストが殺害されているが、その事件のほとんどで主犯は起訴されておらず、真相解明には至っていない。今回、続いた二件の暗殺事件も同様の展開になると思われる。
北サマール州の事件では、地元警察がフィリピン共産党の軍事部門、新人民軍(NPA)の仕業とみて捜査を進めている。というのも殺された解説者がNPAの「革命税」徴集をラジオ番組で辛らつに批判していたからだという。今や国内有数の「ゆすり集団」と化したかのような共産ゲリラを捜査対象にすることは一理あるかもしれない。しかし、実際に犯人を逮捕して事件を解明することが優先されるべきだ。
八人目の被害者の発生を受けて、国際ジャーナリスト連盟は比をアジア太平洋地域でジャーナリストにとって最も危険な国に指定した。この人数は国連が比での政治的殺人が急増したのを受けて調査報告官を送り込んだ直前の水準に近づいている。このままではジャーナリスト殺害犯は裁かれることなく、犠牲者が増えるだけだ。(5日・スター)