ベトナムに負けた
ASEAN首脳会議延期
ビサヤ地方セブ州で予定されていた東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議が、開催直前になって延期された。「台風による天候悪化」を懸念した措置とされた。延期の責任を天候に転嫁するのもいいだろう。
だが、意見を求められた気象庁当局者は、「影響は大きくない」と判断し、首脳会議の続行を進言したという。比側の同会議当局側はそれを無視し、台風の襲来を理由に一連の首脳会議の延期を決定した。
ASEAN加盟国をはじめ多くの関係者が会議出席のため既に現地入りしていた中だけに、延期理由が台風襲来だとしても、内外記者団から疑問の声が上がるのは当然だ。
しかも英国などがテロ警戒に向けた渡航情報を出したばかりだったため、延期理由は治安問題にあるのではとの指摘が出た。
さらに、改憲をめぐり首都圏で懸念される政治混乱を外国の代表団、記者団に見せたくなかったのではないかという疑問も出ている。
しかし、理由がどうあれ、ASEANの同盟諸国がこの種の国際会議を成功させている中だけに、世界が注目する首脳会議を延期したのは、この国にとっては由々しき事態だ。
例えば、ベトナムはほんの一カ月前、首都ハノイでアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議を無事終えたばかり。この会議の参加国・首脳数はASEAN首脳会議の同数をはるかに上回った。
確かに、ベトナムに台風が襲来するのは少ない。テロ攻撃、政情混乱もないなど、この国とは状況が大きく違ってはいる。だが、国際会議開催に関し、一方は成功し、他方は苦杯をなめた。この国はベトナムに負けたのだ。(9日・スター)