不平等規定の改正を
訪問米軍地位協定
有罪判決を受けたレイプ犯を外国政府に引き渡さなければならないという現実を前に、この国の指導者たちが今、訪問米軍地位協定(VFA)に盛られた不平等規定の即時改正に取り掛かるよう迫られている。
一年間に及んだ裁判の末、米海兵隊のスミス被告に、比人女性をレイプした罪で終身刑が言い渡された。
しかし、スミス被告の収監と同時に、在比米大使館がVFA規定を盾に同被告の身柄引き渡しを要請した。VFA規定によると、米兵が比の法律に違反し告訴された場合、法的手続きの完了まで同被告を在比米大使館で拘束するとされる。スミス被告側が控訴したため、その身柄を米大使館に戻さねばならない。
そして、VFAを締結した現政権はその要請に同意した。比外務省は、外国政府と結んだ協定を尊重すべきだとして担当判事に米国側へのスミス被告引き渡しを指示するよう勧告した。長い間、政府高官はこの問題について犯行が重大な場合には、米国側の身柄引き渡し要請には応じるべきでないとの立場を示してきた。
しかし、VFAでは何が重大な犯行なのかについて定義していない。この欠陥を修正するため、厳密な定義が今すぐに必要で、レイプを含め凶悪とされる犯罪の定義を国内法に合わせなければならない。
さらに、一年に限定された公判期限も見直されるべきだ。「期限を過ぎれば、被告の米兵は法的手続きから解放される」とVFAは規定している。規定が公判の迅速化を意図しているのは理解できるが、正義および国家の利益に反している。また、米議会上院が同協定を批准していないのに、比側が同協定に振り回されるのはわが国の主権への侮辱でもある。 (8日・マラヤ)