漏えいは氷山の一角
看護師国家試験
看護師国家試験漏えい問題で、アロヨ大統領が再試験実施を明言したことにより、政府機関、特に国家資格認証委員会(PRC)が戴帽式を実施した判断が、比看護師教育全体の信用を失墜させる形となった。外国で高まる比人看護師需要に対し、「質」を二の次とする看護師教育機関の金もうけ優先主義が露呈した。
この金もうけ主義が漏えい問題に絡んだPRCなどの不十分な対応ぶりを露見させた。看護学校や同養成学校は卒業生の合格、外国就労の道を開くためなら手段を選ばないのだ。PRCが合否判定で使用した計算方法は、数学的には正しいのかもしれない。だが、多くの質問・疑問が無視されたため、完全とは言えないだろう。
控訴裁への戴帽式差し止め請求に先駆け、PRCは戴帽式を強行。控訴裁が差し止めるまでにほぼ半数が戴帽式を終了した。国内外の病院が合格者不採用を打ち出す中、大統領府から捜査を命じられたアン対策委員長が大統領に再試験実施を説得。大統領は再試験実施を指示した。これにより次回試験の作成に向けてPRCの再編が急務だが、委員就任を打診された多くが現委員長は辞任すべきだとして就任を拒否した。
高等教育委員会(CHED)の責任も無視できない。合格率が低下する中、CHEDは成績不良を続ける看護学校の閉校に踏み切らない。プノCHED委員長は最低合格率三〇%は高すぎるとして、一〇・一五%が妥当だと主張。残り八五%が不合格でも構わないという姿勢に、教育システムの利権主義が見え隠れする。漏えい問題は氷山の一角にすぎず、真のスキャンダルはCHED内に潜んでいるのではないか。(5日・インクワイアラー)