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6月20日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 435字|2005.6.20|社会 (society)|ハロハロ ]

 今から九年前の八月、ミンダナオ島アポ山ろくで元日本兵の小田敬三さん=当時(74)=の生存が確認された。「戦死扱い」にされた元日本兵の生存確認は、一九七四年の小野田寛郎さん以来だったが、日本側の対応は冷たかった。日本政府は現地に職員を送らず、記事にすらしなかった日本マスコミもあった。

 二人とも日本国籍で日本のために戦い戦後数十年間身を隠した。遺族が「戦死」というウソの政府報告を信じ込まされ、墓まで建てたという点も同じだった。違いは一点、小田さんが比人の母を持つ比生まれの日本人だったこと。狭量な「島国根性」故に、小田さんが棄民のように扱われたことを私は決して忘れない。

 小田さんの生存が確認される前の一九九〇年代半ば、元日本兵探しに没頭した。生存者を戦死扱いにした「政府のウソ」を暴くという使命感と功名心に背を押され、怪奇な未確認情報に一喜一憂した。あれから十年。第二、第三の小田さんとその子供たちは今も「棄民」として比のどこかで生きていると思う。(酒)

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