官民一体の支援を
日本の五輪活躍に学ぶ
アテネ五輪の開催期間中、日本に滞在した私は、日本選手団の活躍を受けた盛り上がりに大きな感銘を受けた。日本の獲得メダル数は金一六、銀九、銅一二。金メダル数では全参加国中、第五位に入った。
中でも、女子マラソンの金メダリスト、野口みずき選手の活躍が印象的だった。野口選手の背丈はアロヨ大統領とほぼ同じで、体重は約四十キロしかない。気温が三五度を超える過酷な条件の中、四二・二キロのコースを走りきったのだ。
日本選手団活躍の秘密は、小さな可能性を押し広げる科学的トレーニングにある。野口選手は、苦手の下り坂を克服するため、スイスの山間部で特訓を重ねた。水泳平泳ぎの金メダリスト、北島選手も水中カメラでフォームを研究したという。
そして、これら選手をさせるのが、官民一体となった協力態勢と強い向上心だ。スポーツに限らず、何につけてもあくせくしない比人が日本から学ぶべきことは多いと思う。
日本の企業は、経済状態が決してよくない中で、協賛金を出すだけでなく、選手らを社員として雇用することで安定した生活基盤と練習環境を提供している。選手の活躍が企業PRにつながるため、最新機器を備えた練習施設の整備にも積極的だ。ある子供服メーカーは、百人あまりのスポーツ選手を抱えるだけでなく、年間十億円を練習施設の建設・維持に費やしている。
比は今回もメダルゼロに終わった。東南アジア大会の開催を来年に控え、比企業はスポーツ選手の養成や施設整備を積極的に支援すべきだろう。また、比五輪委員会など関連団体もスポーツ界活性化に取り組まなければならない。(8月31日・インクワイアラー、ベリンダ・クナナン氏)