適材適所の任命を
閣僚人事問題
今回の閣僚人事は適所適材の原則を欠いているとして批判が出ている。司法、観光、教育長官の任命は恩賞人事とされ、全体として古い顔ぶれが並んだだけとも言われる。
特に三つの閣僚人事が議論を呼んでいる。まず、アベリーノ・クルスの国防長官への任命だ。同氏自身も「自分の任命は昨年七月の国軍将兵反乱事件を調査したダビデ最高裁長官らが柱にした文民統制勧告に従ったもの」と主張している。
クルス氏は普通の市民ではない。国内有数の弁護士事務所の創設メンバーで大統領顧問(法律担当)を務めるなど大統領にも近く権力の座に就く正当な理由があった。だが、大統領府は彼の任命について「マネージメント能力のある市民」としか説明していないのだ。国内で二番目に大きな官僚組織である国防省を統制した、最後の本物の文民はオルランド・メルカド氏だった。彼はエストラダ前大統領の選挙参謀を務めるなど個人的に前大統領と親しかっただけでなく、上院で国防委員長を務め国家安全保障問題に通じていた。クルス氏にはそのような経験がない。
反対に法律的知識が必要とされる官房長官に弁護士でもない国軍出身のエルミタ前国防長官が任命された。彼は下院議員にも選ばれ、また反政府勢力との和平交渉を担当するなど公僕として長年働いてきた。だが今後、法律家に頼らずして「小さな大統領」としての重責を果たすことが可能だろうか。
また、ラウル・ゴンザレス氏の司法長官任命は大きな間違いだ。国内最高の弁護士が就くべき職務に、エストラダ弾劾裁判での働きや大統領選挙の国会集計での指揮ぶりが評価され、党利党略のために選ばれたからだ。 (23日・インクワイアラー)