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6月28日のまにら新聞から

開拓・PR・中間層

[ 689字|2004.6.28|社会 (society)|新聞論調 ]

観光業振興策

 シンガポールを訪れるたびに不思議に思う。どうしてこんな小さく自然に乏しい国がこうも多くの観光客を引きつけるのか、と。フィリピンにはずっと多くの名所がある。なのにマニラ国際空港では、見所を掲載したパンフレットを旅行者が探しあぐねている姿を見る。彼らは「なんでマニラになんか来ちゃったんだろう」と考えているはずだ。

 外国に名所を売り込むためには、第一にわたしたち自身がその良さを知らねばならない。マレーシアの中華街は一大観光名所だ。オーストラリアに至ってはメルボルンの四百メートル足らずの中華街が人を呼ぶ。ならばマニラ市ビノンドも古い歴史を持つ本物の中華街なのに、わたしたちは気づいていない。

 次に、旅行者への情報提供が大事だ。最近開拓されたミンダナオ地方シアルガオのサーフィンやソルソゴン州でのジンベエザメウォッチング。だが、観光客がこの情報を得るのにどれだけ苦労することか。アジア各国はパンフレットや雑誌で見どころを取り上げて提供している。

 三つ目の課題に、観光客の客層の見極めがある。「比の観光はハイクラスの客だけをターゲットにしている」との不満を聞く。バンコクはもっと一般的な旅行者も受け入れている。比は中国や韓国などアジアで生まれつつある中間層という大市場を無視している。

 この「観光無策」はやはり政治の責任だ。ボラカイなどの観光地は観光客が自ら見つけたものだ。価値ある観光地は大いに知られるようになる。インドネシアの観光はバリ島一極集中だが、周到に企画されて繁栄している。比の観光客誘致も確固たる政策が必要だ。(25日・インクワイアラー、ラウル・パガラガン氏)

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