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6月28日のまにら新聞から

経済政策の優先を

[ 669字|2004.6.28|社会 (society)|新聞論調 ]

新政権の課題

 六月三十日の就任式に向け、アロヨ大統領がどのような劇的な政策を打ち出すかを見守る必要がある。大統領府は既に新政権を特色付けようと六項目の貧困対策を発表した。しかし、悲しいことに、政府にこれらの対策を実行する予算があると仮定することは適切ではない。

 対策として挙げた給水施設の拡充や奨学金制度の充実、健康保険の拡大などは本来、政府が国民に当然提供すべきものだ。ただし、政府は歳出と歳入の大きな隔たりに苦慮しており、貧困層に割り当てられる予算には限りがある。

 同様に、貧困対策のひとつ、年間百二十万の雇用創出については、数字はもっともらしいが、まやかしの要素を多分に含んでいる。労働人口が年間百二十万人増加する現状に照らせば、この対策は単なる「失業者増加のためのレシピ」に過ぎないからだ。

 そもそも雇用の創出は、特権的で肥大化した官僚機構の見直しなしに、政府の掛け声だけで成しとげるのは無理である。実際に雇用を生むのは民間企業で、利益が見込めれば雇用は拡大する。労働市場が冷え込んでいる主要因は、需要の低迷と高金利にある。

 対外債務返済に当てるために政府が多額の借り入れをする反面、民間企業の市場での資金調達は困難を極めている。政府が借り入れた分を空軍のヘリコプターで上空からばらまけば、何かを買いたいと思っている国民の手にカネが届き需要が喚起されるかもしれない。

 選挙は終わった。出来もしない約束をして、国民の支持を買う必要はもうない。政府がなすべきは財政秩序の建て直しだ。これが経済の自力回復への前提である。(26日・マラヤ)

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