原因は選管の怠慢
選挙ポスター公害
九十日間の選挙戦は十日にスタートしたばかりだが、所を選ばず埋め尽くされる選挙ポスター類の取り締まりを中央選管は既にあきらめたかのように見える。
十日午後までに、選管と警察は首都圏の二市だけで二百五十三人を包括的選挙法違反で検挙した。禁止された場所にポスターなどを張り出した容疑だ。選管幹部は「選挙戦の初日に明らかになったことがある。政治家こそが無法・違法のお手本であり、わが国は汚職天国であるということだ。国を率いようとする者が生み出す無法状態なのである」と憤慨し、「候補者に説明を求める」と述べた。しかし、一国の大統領に対してそのようなことが可能だろうか。
選挙用広告の張り出しが許される場所を周知させ、候補者に対し規則をきちんと説明し、警告を与えようとしない選管も批判されるべきだ。最近の選挙では候補者らは選挙運動用の指定スペースを露骨に無視してきた。同様の違反を繰り返させないため、選管は十分な準備をしておくべきだった。それを怠っていて、今になって取り締まりに追われている。始まったのは正副大統領と上院議員選挙だけだ。地方選挙はこれからで、選管の仕事はさらに増える。
新聞やテレビなどマスメディアを利用する際の広報ルールと同じく、選挙民に対し候補者の名前を周知させるポスターの張り出しなどに使われる公共スペースは、候補の資金力や組織力にかかわらず平等に与えられるべきだ。
ポスター公害の原因は選管の怠慢だ。与党関係者は「選管は、ポスター張り出し場所すら選定していない。どうやって場所を選べというんだ」と語った。もっともな指摘である。(11日・スター)