ハロハロ
一審で「誤った死刑判決」(最高裁)を受けた鈴木英司さん(47)とは逮捕直後からの付き合いになる。「日本人にはめられました。大使館に助けてもらおうと電話を入れたのですが、コレクトコールの受信を拒否されました。どうすればいいでしょうか」。鈴木さんから私が最初に受けた電話はそんな内容だった。
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バコロド市の拘置所に彼を初めて訪ねた時から九年半。この間、獄中に彼を訪ねるたびにさまざまな「犯罪者」と話をした。先日も「湾岸戦争で住民を虐殺したショックから麻薬に走った元米海軍特殊部隊隊員」の米人男性と「身に覚えのない誘拐、レイプ事件で訴えられた元企業コンサルタント」の比人男性に出会った。どちらも一審死刑で無実を訴えている。
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「鈴木の事件はアンビリーバブル。私の事件はインポッシブル。どちらもでっち上げだ」(米男性)。「真犯人を突き止める捜査能力もないのに死刑は科す。結局金のない人間だけが処刑されている」(比男性)。そして無実を訴えながら「誤った死刑判決」を受けた鈴木さん。塀の中から見た外の世界はとても怖い。(酒)