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6月30日のまにら新聞から

どうする法の運用

[ 703字|2003.6.30|社会 (society)|新聞論調 ]

たばこ規制法案

 喫煙は呼吸器や心臓疾患の誘発、糖尿病や高血圧の危険性を高める。また、非喫煙者もたばこの煙による咳やくしゃみといった不快さに悩まされるだけでなく、受動喫煙で喫煙者同様の健康被害を受けるとされる。しかし調査によると、アジア地域における喫煙者の数は増加し続けているという。

 喫煙の被害を減らすため、アロヨ大統領はこのほど、包括的たばこ規制法案に署名、共和国法第九二一一号が施行された。一部からは「規制に手ぬるさが残る」との声が出ているが、同法はおおむね非喫煙者から評価を得ていると言える。 

 法施行に伴い公共交通機関や公共施設、学校など子供が利用する施設は禁煙や分煙化が義務づけられる。レストランは別室に喫煙所を設けなければならない。これまで野放しだった十八歳未満へのたばこ販売は犯罪として扱われ、五千ペソ以下の罰金か三十日以下の禁固刑が科される。今後たばこ産業は文化・スポーツ・教育事業への後援ができなくなり、将来的にはマスメディアによる広告が不可能になるという。

 専門家によると、法の施行で国内の喫煙者は約三〇%減少するとみられている。非喫煙者は歓迎しているが、法律の規制条項は広範囲にわたり、実際の法の運用に疑問の声が挙がっているという。

 学校や病院での法の適用は管理者の協力次第で可能となる。だが、公共交通機関や全国の小売業への規制はそうはいかない。

 この国には多くの立派な法律が存在するが適正に運用されているかは実に心もとない。法を機能させるには市民の協力が不可欠だ。政府はバランガイ関係者や市民団体と協力し、有名無実となった他の法律の轍(てつ)を踏まないようにすべきだ。(25日・スター)

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