ハロハロ
比で生活していると、思わぬ場面で「コミッション」や手数料を取られることがある。モノを右から左へ流したり、人の世話をしてもうけることは普通の商行為と変わらない。ただ、相手が一定のルールに基づいて動く会社ではなく、顔の見える人となると「一体どれぐらい抜かれたか」といやらしい疑念を抱いてしまう。
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最近、会社の比人同僚に携帯電話の値段を調べてくれるよう頼んだ。同僚によると店頭価格は一万九千ペソ。「明日でも代わりに買ってきてあげる」とのことだった。ところが、自分で値段を調べてみると、実際は一万三千ペソ前後。「六千ペソも抜こうとしたか!」と特ダネをつかんだ時のように心が躍ったが、同僚には今も黙っている。
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比社会では、コミッションを抜くのは暗黙の了解になっているようで、前大統領らの不正蓄財疑惑も根っこは同じ。「郷にいれば……」と思うものの、中には許せないこともある。数年前、火災現場で「手数料」を取り、放水方向を右へ左へ変える消防士を目撃した。人の弱味につけ込む火事場泥棒。さすがにあきれかえった。(酒)