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7月9日のまにら新聞から

「準同盟」へ大きな一歩 比日2プラス2でRAAに署名

[ 1649字|2024.7.9|政治 (politics) ]

比日2プラス2に合わせ、比日両政府がRAAに署名。締結されれば、日本にとってアジア初のRAA締結国

記者会見の最後に握手で結束を示した両国の外務・防衛大臣。左から木原防衛相、上川外相、マナロ外相、テオドロ国防相=8日午後7時半ごろ、首都圏タギッグ市で竹下友章撮影

 上川陽子外相とフィリピンのテオドロ国防相は8日、大統領府でマルコス大統領の立ち会いのもと比日部隊間協力円滑化協定(RAA)に署名した。同日開かれた第2回比日外務・防衛閣僚間会合(2プラス2)に先立ち、上川外相、木原稔防衛相が大統領を表敬訪問したタイミングの署名となった。両国の議会承認を経て締結されれば、日本にとってアジア初のRAA締結国。相互に接受国内での訪問部隊の法的地位を定め、軍事演習の参加を含めたより本格的な防衛協力が可能となり、日豪関係のような「準同盟」と言える関係に近づく。

 日豪RAAは政府間の署名から、議会承認、公文交換を経た発効まで約1年7カ月、日英RAAは約9カ月かかっている。比では来年に控える中間選挙後に条約承認権を有する比上院の構成が変わるため、早期締結のためには選挙前に議会承認を得られるかもポイントとなる。

 RAA署名の後、比日の防衛・外務大臣は首都圏タギッグ市BGCのシャングリラホテルで開かれた一連の会合に参加。防衛相間、外務省間の会合の後、2プラス2を開いた。比日から50人以上の政府高官・職員が参加した同会合には、比日の制服組トップであるブラウナー比国軍参謀総長、吉田圭秀統合幕僚長も参加した。

 

 ▽軍事同盟化の道も

 2プラス2後に開かれた合同記者会見では「RAAは、ゆくゆくは訪問部隊が利用可能な軍事施設を建設する防衛協力強化協定(EDCA)や相互防衛条約(MDT)などに発展する可能性があるか」との質問も飛んだ。

 マナロ外相は「それは今後どのように状況が進展するかによる」と可能性を持たせ回答。「RAAによって比日は防衛・安保協力のフレームワークを持つことができる。この中のどの分野の協力をさらに進めていくかは状況次第だが、RAAが地域に安定をもたらすという点が重要だ」と述べた。

 テオドロ国防相はRAAと訪問軍地位協定(VFA)との違いについて「両国の国内法要件に適合するよう調整されているだけで、RAAはVFAと同じだ」と明言。「RAAは比国軍と自衛隊の間の相互運用性をもたらす。相互に受け入れ可能な大規模演習や相互運用性訓練を含めた取り組みを通じて、信頼を醸成していきたい」と防衛協力の方針を述べた。

 ▽国防に「死活的に重要」

 南シナ海での中国海警局による比補給任務妨害で、比船舶に6000万ペソの損害が出、比海軍職員が指を欠損する重症を負うなどますますエスカレートする比中間の緊張。こうした南シナ海問題に対し「日本はどのように関わっていくのか」との質問に、木原防衛相は「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)というビジョンの下、同盟国・同志国と連携し、地域の平和と安定を確保していくことは、わが国の安全保障にとって死活的に重要だ」と回答した。

 同相はこの日、比の海域に日本のシーレーンが通るなど比が日本にとって戦略的要衝に位置することを繰り返し指摘し、地域の安定が日本の国防に分かちがたく結びついている点を強調。その上で、地域と平和と安定、ルールに基づいた国際秩序を維持・確保するため比日2国間の防衛・安保連携を進めながら、それど同時並行に米国や豪州など同盟国・同志国とのミニラテラル(少数国間)連携を推進することに強い期待を表明した。

 「対中国という点で、RAAにはどういう意味があるのか」との質問に上川外相は「比日は同じ海洋国家であり、基本的な価値・原則を共有する戦略的パートナー。そんなフィリピンとの関係強化は、地域の平和と安定のために不可欠なものとして推進しており、特定の国を念頭に置いたものではない」と説明。

 その上で、「中国との間では、戦略的互恵関係を包括的に推進するとともに、主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めつつ、諸懸案を含めて、対話をしっかり重ね、共通の課題については協力をする建設的かつ安定的関係の構築を双方の努力により進めていく」との方針を説明した。(竹下友章)

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