「国際法に反する行為」 中国名指しで批判 比日米外相会談
米ニューヨークで2回目の比日米外相会談が開催。中国を名指しして「国際法に反する行為」と非難
米国務省は米時間22日、国連総会が開かれている米ニューヨークで、ブリンケン国務長官、上川陽子外相、マナロ比外相が会談したことを発表した。比日米3国の外相会談は7月に初めて実施されたばかりで、今回で早くも2度目。3者は、南シナ海南沙諸島のアユギン礁(英名セカンドトーマス礁)近海で中国が「比の航行の自由の行使を妨害する行為」を行っているとし、「これを含む中国の国際法に反する行動に対し非難し続ける」と宣言した。
3者はまた、海上の人道支援、災害救援のほか、海洋における国家的な重要情報を収集する海洋状況把握(MDA)を含む3カ国安全保障協力を促進する方法について意見を交換。南、東シナ海の平和と安定の促進に取り組むことを再確認した。さらに、自由、民主主義、人権を3国の「共通の価値」として守り、対等な主権国家として国際法に基づく「自由で開かれたインド太平洋」のビジョンを推進することで一致した。
ブリンケン国務長官は会談の冒頭あいさつで、「この機会を通じ、既に始めている取り組みを深化させ、今後数カ月内に進める」と述べ、近く新たな動きがあることを示唆した。
今回の外相会談は、6月に東京で開かれた3国の国家安全保障会議(NSC)担当高官会談、7月の3カ国外相会談、今月6日のマルコス大統領、岸田文雄首相、ハリス米副大統領会談を踏まえたもの。NSC担当者会合では南シナ海で比日米の海軍種間の共同活動を実施することで一致している。
アユギン礁は2016年の南シナ海仲裁裁判所判断で比の排他的経済水域(EEZ)内であることが確認されている。比は、同じく比EEZ内にあるパガニバン礁(英名ミスチーフ礁)が1995年に中国に占拠されたことに対抗し、1999年にその東隣のアユギン礁に海軍艦を座礁させた。同艦を詰め所として実効支配を守ってきたが、中国海警局は今年に入り、同艦への比の補給任務に対し軍用級レーザーの照射や、放水砲の発射などで妨害行為を強化している。(竹下友章)