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9月17日のまにら新聞から

大統領の兼任は付加価値ゼロ 機能不全に陥った農務省

[ 703字|2023.9.17|政治 (politics)|新聞論調 ]

 気候変動やウクライナ戦争による物流の混乱だけでなく、インドがコメの一部輸出を禁じるなど、予期せぬ事態によって、コメをはじめ農産物の価格が不安定になっている。そんな時に、この国で最も機能不全に陥っているのが農務省だ。

マルコス大統領は就任初日に有能なテクノクラート、できれば政治的手腕を持つ人物を農務大臣に任命する代わりに、自身を農相に任命した。

 これは予想通り、事実上省のリーダー不在を意味した。マルコス氏が就任してからの14カ月間、同省への訪問はわずか4回、時間やその他幹部と面会したのは3回と伝えられている。一体何を考えているのか。当初は2022年選挙に出た盟友のためのポスト確保とも見なされてきたが、1年間の公職禁止期間が終わって4カ月が経つ。

 特にコメや野菜の価格が非常に不安定で、農務省の手堅い運営が必要な時期に、同省が回っていないことは明らかだ。それでも農相続投に固執しているのは謎である。マルコス氏は12年間、農業が盛んな州の知事と副知事を務めていたが、農業問題に専門的な知識や関心を示したことは一度もない。同省は数十年にわたる怠慢と不始末のため、困難な課題に直面している上、腐敗による「アウゲイアス王の牛舎」と見なされている。

 首都圏のエリートやメディアにはほとんど知られていないが、農務省はわが国で最も重要な政府経済機関の一つであり、全国の農民が国の援助や近代的な農業技術を利用する際の窓口である。この14カ月、農務省は大失敗の連続で、マルコス氏の同省における付加価値はゼロ、あるいはマイナスでさえある。(13日・マニラタイムズ、リゴベルト・ティグラオ、ジャーナリスト)

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