地下鉄事業を「脱線」させるな マカティ、タギッグ帰属問題
首都圏マカティ市とタギッグ市の「領土紛争」は、最高裁が2021年にタギッグ市の主張を受け入れる形で解決を迎えたが、最近、比証券取引所に対し、2000億ペソを投じるマカティ市地下鉄事業の実現は「不可能」として、民間提案者がマカティ市に再協議呼び掛けを行ったことを明らかにしていた。
19年に調印された全長11キロのマカティ地下鉄事業は、同市のビジネス地区の重要エリアを結ぶ、地方自治体と民間企業(フィリピン・インフラデブ)による最大級のインフラ事業だ。しかし、タギッグ市に移管が決まったセンボ地区に車両基地が建設される予定であり、主要な2駅の予定地も移管先に含まれていた。
同事業の契約に基づき当初、マカティ市はインフラデブの優先株発行と引き換えに、市内にある面積計7・9ヘクタールの不動産の実質的所有権を同社に譲渡した。それを受けて、同社は21年に事業第1期8キロ区間の設計・調達・建設契約を中国国営の中国建設第二工程局有限公司に発注。ビナイ・マカティ市長は先に、同事業が鉄道建設と運営に1万人の雇用をもたらすとしていた。
地方自治体事業ではあっても、すでに始まっているこの重要事業を頓挫させることは、信頼できる公共交通機関の不足に長年悩まされてきた通勤客にとって、さらなる害となる。もともと25年までの開業予定であり、通勤客は完成を心待ちにしている。地下鉄の運命は、今やタギッグの地方自治体がそれを支援するかどうかにかかっている。(14日・インクワイアラー)